困りの多い息子は、苦労が多い学校生活を送っている。
これまで日常から行事まで様々な場面で、母もまさに“その場をじっとしのぐ”しかないほろ苦い状況を多く味わってきた。(本人にとっては、最大級の大嵐をしのぐ思いであろう。)
でも母にとってその感覚は、子どもが学年を重ねるごとに少しずつ変わってきている。
息子は小学校の運動会を5回経験した。彼はずっと自分の色の優勝にこだわってきた。1年生の時は、閉会式で優勝できなかったのを知ったとたん、その場で大泣き。
2年生の時も同様、観覧席で目の前の長椅子を蹴り倒し、水筒が無惨にバラバラと倒れ落ちた。
3年生の時は、優勝の見込みが無くなった瞬間、座席で少し涙したが、すぐに落ち着いた。(この年から競技などには一切出ず、観ることに徹するようになる。)
4年生の時は、運動会前から“どうしよう”と繰り返し不安を口にしては、調子を崩す日々。先生からの“負けたらどうするの?”の一言で、負けた時は〇〇(本人の楽しみなことを)する、とシュミレーションをするようになり、落ち着く。
今回も負け。その瞬間顔が曇ったが、“〇〇する”と言って、すっと落ち着いて終わることができた。
5年生の時は、“今度こそ勝ちたい”と早い時期から落ち着かず。今度は“勝つために自分はどうしたらいいか”を考えるように促した。
珍回答もあったが、それを先生が受け止めて聞いてくださったことで、なんとか落着いた。そしてついに念願の“優勝”を果たすことができた。直後に“来年は負けてもいい”と口にした。
こうして振り返ると、相変わらずに見える息子も中学年、高学年に進むにつれ、少しずつ進化しているのが分かる。共に母の心境も変化している。(広報誌より抜粋)
2話完結
シマウマ